兵庫県受動喫煙防止対策指針

2004年2月パブリックコメント 4月最終決定・公表
兵庫県喫煙問題研究会
 兵庫県は受動喫煙を防止するための指針を策定するにあたりパブリックコメント募集をおこない、本研究会から下記意見を提出しました。最終的に受動喫煙対策の対象施設を実質無制限に拡大する、WHO神戸センターとの連携体制を明記するなどのパブリックコメントの意見をもとにした改善もみられ、最終結果が公表されました。特に、学校の敷地内禁煙について、公立だけでなく私立も、さらに大学も含めてすべての学校に対象を広げて平成17年度までに実施するとの内容は評価に値すると思います。官公庁や医療機関も最低でも建物内禁煙とされ、家庭内の禁煙にも言及されています。最終決定された指針とパブリックコメントの結果はこちら。

「兵庫県受動喫煙防止対策指針」(案)についての意見

 私たち兵庫県喫煙問題研究会は、人々をタバコの害から守るために行動する兵庫県民の集まりとして、平成13年7月に設立されました。現在、会員は医療・教育関係者やジャーナリスト、自治体職員、一般市民など171名で構成されています。本会の活動については、会のホームページをご覧下さい。
URL http://notabako.hp.infoseek.co.jp/

「兵庫県受動喫煙防止対策指針」(案)について本会の意見を申し上げます。

1.県民の命と健康を守るため、このような指針作りを企画・実行されようとする兵庫県の姿勢に敬意を表します。
2.健康増進法施行下にある現在でも第25条を守っていない施設は自治体施設をはじめとして多数あります。これは罰則がないことが一つの大きな要因と思われます。兵庫県で「受動喫煙防止条例」をつくり、罰則をつけ、実効的な受動喫煙対策を進めて下さい。
3.「兵庫県受動喫煙防止対策指針」に説得力を持たせるためにも、平成16年度中に、兵庫県庁および県関係機関の建物内を食堂・喫茶店などのテナントも含めて全面禁煙として下さい。また、売店・自販機を問わず、タバコ及び喫煙具(ライター・携帯灰皿など)の販売を中止して下さい。喫煙室や空気清浄機などに、貴重な税金を使わないで下さい。県職員は、勤務時間は昼休み時間以外禁煙として下さい。現状は受動喫煙防止について何の対策も立てられていない県施設もあり、喫煙場所が定められている場合でも厚労省の基準が満たされておらず、利用する県民に受動喫煙をさせ、健康増進法第25条を犯している状態にあります。これでは「兵庫県受動喫煙防止対策指針」の説得力がありません。
4.すべての教育機関を平成17年度中に敷地内禁煙とされた英断に敬意を表します。急増する未成年喫煙に本気で取り組む姿勢に共感致します。ぜひ、公立・私立問わず、保育園・幼稚園から大学まで、敷地内禁煙を徹底し、また、依存に陥っている児童・生徒・学生や教員の禁煙支援も同時に進めて下さい。
5.医療機関においても、タバコ煙弱者が多く集まる場所であり、疾病の最大の単一原因である「喫煙」と対極にある治療施設でもあることから、分煙ではなく、敷地内禁煙として下さい。
6.未成年や家族連れが行く可能性があるファミリーレストラン・ファーストフード店等は、従業員の受動喫煙を防ぐためにも、分煙ではなく、全面禁煙として下さい。
7.車両内の受動喫煙防止対策を充実してください。
1)健康増進法の適用対象であるタクシーをすべて禁煙にするように指導下さい。狭い車内での受動喫煙被害は重大で、特に乗客の喫煙によって受ける乗務員の受動喫煙被害は深刻です。県庁関係機関・医療機関で客待ちをするタクシーには特に徹底して指導を行ってください。
2)観光バスの中も全車禁煙としてください。
3)自家用自動車の中も、未成年者が同乗している場合は、禁煙という条項を条例に入れて下さい。
8.交通機関について、関東の主要鉄道会社が全面禁煙となったのに対して、関西ではいまだにプラットフォーム上に仕切りも区切りもない喫煙場所があるために、不特定多数の人に受動喫煙被害が及んでいます。指針には平成22年度までという目標となっていますが、平成17年度までに100%という目標に繰り上げ、駅での受動喫煙の害のない環境を実現して下さい。また、バス停留所や待合室においても、そこで喫煙されたら受動喫煙を避けがたい場所ですので、目標値に含め、指導対象として下さい。
9.神戸市では条例ではないものの歩行喫煙を禁止していますが、歩行中の喫煙や信号待ちの喫煙も受動喫煙被害の頻度の高い行為です。路上の禁煙は千代田区の先例でみるとおり、受動喫煙だけでなく、吸殻の投げ捨て防止にも効果があることが実証されています。受動喫煙対策としての路上の禁煙を罰則をつけて、条例に含めて下さい。
10.家庭内の禁煙に言及した点はすばらしいと思います。今では、家の外だけで喫煙しても喫煙者の呼気による受動喫煙被害が想定される報告もあり、家庭内喫煙者の存在が未成年喫煙の誘引ということも明らかになっていることから、妊婦や未成年者の同居者は禁煙するという内容に改め、「未成年者の同居人の非喫煙率100%」を目標値とするとよいと思います。
11.案にある対象施設からは、健康増進法の際に厚労省健康局長から通達された第25条対象施設の一部が抜けております。金融機関、商店、遊技場、娯楽施設などです。これら施設のほかにも入浴施設なども指針の対象施設に含めて下さい。
12.未成年者や妊婦は、受動喫煙のおそれのある場所、すなわち、喫煙席、喫煙室、喫煙コーナー、受動喫煙対策が不十分な施設・場所に立ち入ったり、立ち入らせたり、連れて入ってはならないという条項を受動喫煙防止条例に含めて下さい。
13.受動喫煙対策と同時に重要となる禁煙支援(禁煙外来受診など)費用を、県のタバコ税から支出してください。特に未成年の禁煙支援費用は、未成年者へのタバコ売り上げで不当に収益を得ている販売者が負担すべきものです。
14.禁煙支援について、医師・歯科医師・薬剤師などの専門家と県が連携して取り組む体制と禁煙支援情報を県民へ伝える体制を早急に整備して実行して下さい。私たち、兵庫県喫煙問題研究会も全面協力したいと存じます。
15.受動喫煙防止施策を広報・周知するために、目立つポスター・ステッカーなどをお願いします。せっかくの禁煙施設であっても表示が目立たないと利用できませんし、健康増進法や県の指針についての文言とともに大きな禁煙マークがあれば、啓発効果も期待できると思います。先進的に取り組んでいる優良施設を表彰し、受動喫煙を避けたい県民のために、禁煙の施設をリアルタイムに公表して下さい。
16.兵庫県喫煙問題研究会では、健康増進法違反イエローカードを作成し、全国に3万枚以上配布しています。ご参考になれば幸いです。会のホームページから、ご覧になれます。
 http://notabako.hp.infoseek.co.jp/
以上

神戸新聞の関連報道(2004/4/2)