兵庫県保健医療計画(健康長寿ひょうごプラン)圏域推進方策
(アクションプラン)意見書

以下の文書を9つの圏域(阪神南、阪神北、東播磨、北播磨、中播磨、西播磨、但馬、丹波、淡路)全てに平成14年1月29日付けで提出しました。
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               アクションプランに関する意見書

2002年 1月29日
                           兵庫県喫煙問題研究会
                           日本禁煙推進医師歯科医師連盟兵庫支部
                           会長  瀬尾 攝(前兵庫県医師会長)

 私たちは禁煙推進のために、兵庫県を中心に活動する会員百名余りの保健・医療従事者、教育関係者、マスコミなどさまざまな職種からなる市民グループです。貴圏域のアクションプランについて、意見を述べさせていただきます。住民の命と健康を守る施策の中で、喫煙対策は最も費用効果の優れた施策です。喫煙による死亡は、全死因の12%に及ぶと言われます。従って、住民の命と健康を守るために最優先で取り組まなければならない課題です。
 貴圏域の 生涯を通じた健康づくりの推進−健康を支える生活習慣の確立の中の「タバコ」について以下の意見を述べます。

1 喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及
 喫煙のリスク「脳卒中が引き起こす寝たきり」「しわ、くすみ、たるみ、歯肉、口唇の黒ずみなど容貌の悪化」「痴呆」「依存性」「自殺率、犯罪率、不慮の事故などの増加」「ED」「不妊」の追加を要望します。

2 未成年者の喫煙をなくす
2010年未成年喫煙ゼロを目指すために、小学生の喫煙ゼロを数値目標に入れて下さい。
 月1回以上喫煙する者(月喫煙者)の割合  0% (小中学校は2005年までに達成)
 学校で防煙教育を実施している割合    100% (小中学校は2005年までに達成)
また、未成年者のタバコ入手対策として以下を提案します。
 未成年者にたばこを提供しない(本人申告および目撃調査) 0%
 (屋外自動販売機、屋内自動販売機、コンビニ、たばこ店、家のたばこのについて)
小中学校通学路のタバコ広告        0%
また未成年喫煙防止のための環境整備のために学校敷地内禁煙100%を数値目標として入れて下さい。
 イギリスの15歳〜16歳1375名の調査があります。学校の敷地内を含む全面禁煙(教師、成人を含む)を成文化した規則を有する学校における日常的喫煙の頻度は、9.5%(95%信頼区間6.1〜12.9%)であり、そのような規則のない学校では、30.1%(95%CI 23.6%〜36.6%)の生徒が日常的に喫煙していました。その中間のレベルの規則を有する学校では、20.1%(17.8%〜24.2%)が毎日喫煙していました。学校敷地内禁煙は、児童生徒の喫煙予防にかなり大きな効果が期待できます。和歌山県教育委員会や、青森県、香川県などの一部の学校では敷地内禁煙が報道されています。兵庫県においても遅滞なく、学校敷地内禁煙に取り組むべきではないでしょうか。

3 妊婦の喫煙をなくす
 妊婦喫煙率(妊娠届出時および最終月経時)0%
最終月経時とするのは、妊娠が自覚できない妊娠初期の喫煙を防止するため。
 妊婦喫煙のリスクを知っている割合 100%
(早産や流産、胎盤の血流が悪化、早期破水、早期胎盤剥離、低体重児、先天異常(口蓋裂、無脳症、二分脊椎等)、乳児突然死症候群、知能低下について)
 妊婦の受動喫煙           0%
 (同居喫煙者がどこでも喫煙する割合をなくし、禁煙あるいは外で吸う割合を増やす。妊婦の受動喫煙が防止できない空気清浄機は使用しないことを徹底する)

4 公共の場及び職場における禁煙・分煙の徹底及び効果の高い分煙に関する知識の普及
下記のように詳細に目標設定をお願いします。愛媛県のプランが参考になります。
 官公庁の禁煙                  100%
 学校敷地内禁煙                 100%
 医療機関禁煙                  100%
 公共の場所の禁煙または完全空間分煙         100%
 その他不特定の人が集まる場の禁煙または完全空間分煙 100%
 官公庁以外の職場の禁煙または完全空間分煙      100%
 空気清浄機を使わないなど正しい分煙方法を知っている割合 100%
(分煙に空気清浄機は不適切であるという文書が、平成14年初めに厚生労働省より「分煙効果判定基準策定検討会報告書(座長=内山巌雄・京都大学教授)」として出されることになっています)

5   官公庁職員 / 教師 / 医療従事者の職場での非喫煙者率  100%

6   職域の完全空間分煙化に関して
行政を主体として、各職域に禁煙指導を含めた個別健康教育のための支援者研修や、喫煙対策の進展度をきちんと把握し、推進できる仕組みを整える
数値目標として、
就労者50人以上の職場での完全空間分煙率2005年までに100%
就労者50人未満の職場での完全空間分煙率2010年までに100%
を盛り込むこと
 
7 禁煙支援プログラムの普及
 禁煙プログラムを提供している市町村        100%
 (喫煙者個別健康教育に取り組んでいる市町村)
 ニコチン製剤が処方可能な医療機関        100%
(内科標榜医療機関,歯科標榜医療機関)
 禁煙方法の知識(禁煙方法を知っている喫煙者の割合)100%
 禁煙したいができない人              0%
 実際の実施方法としては、行政ですでに禁煙を達成した施設を公表し、推奨する。たとえば、禁煙、または完全分煙化され、未成年を禁煙席に誘導するなどの喫煙防止対策をきちんとしているレストランを禁煙サポーター(アクションプランを推奨する施設、またはアクションプラン推奨する個人)制度として公開し、禁煙サポーターワッペンを配るなどの具体的な対策をとる。また、歩きタバコとポイ捨てに関しては、条例で罰金を取るなどの措置も、検討する。

兵庫県各圏域のアクションプランを見てみますと、喫煙対策の有無だけで、肺がんや乳幼児突然死などの喫煙関連疾患死亡だけで圏域間の格差ができてしまいます。薬害エイズのように、計画策定時に遡って、計画策定者の不作為責任が問われかねないと憂慮します。是非、上記のようなしっかりとした目標値を設定し、喫煙対策に全力で取り組み、住民の健康と命を喫煙の被害から守りましょう。



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