★神戸市長選挙立候補表明者対象の喫煙問題アンケートを実施、公表しました!!★ ●趣旨(記者会見用) ●アンケート結果と回答集計(詳細版) ●アンケート結果一覧表 ●アンケート結果についての兵庫県喫煙問題研究会および日本禁煙推進医師歯科医師連盟兵庫支部の見解 ↑TOP 報道機関各位 2001年10月9日 兵庫県喫煙問題研究会 日本禁煙推進医師歯科医師連盟兵庫支部 会長 瀬尾 攝 神戸市長選挙立候補表明者対象の喫煙問題アンケートの実施にあたって わたしたちは、タバコの害から兵庫県民の健康と命を守るために兵庫県内を中心に活動する医療・保健関係者、教教育関係者、行政担当者、マスコミ関係者、一般市民などが参加する約60名の市民グループです。 このたび、私たちの会では、神戸市長選挙候補表明者に対し、タバコ問題についてどのように考えておられるのかアンケートを実施しました。立候補表明者6名のうち、5名から喫煙問題アンケートの回答をいただきましたのでお知らせいたします。 つきましては、同アンケートの集計結果とアンケートの実施についての兵庫県喫煙問題研究会、および日本禁煙推進医師歯科医師連盟兵庫支部の見解を添付しますので、ご参考にしていただければ幸いです。 アンケート結果と回答集計(詳細版) →結果一覧はこちら ↑TOP 2001年神戸市長候補表明者タバコ問題アンケート 上記のアンケートを立候補表明者6名に送付しました。そのうち、上野恭昭氏を除き以下の5候補表明者から回答を得ました。なお、お名前の順番は到着順になっております。 ● 木村史暁氏 ● 中島絢子氏 ● 吉田純一氏 ● 池上徹氏 ● 矢田立郎氏 はじめに、タバコ対策一般に関してお伺いします。 (1)タバコは喫煙者と廻りにいる非喫煙者を死に追いやる製品です。喫煙による死亡は世界で毎日11,000人、年間は400万人に及びます。WHOは、喫煙率を下げ、タバコのない社会を作るためにタバコ税を上げ、その税金を喫煙対策に当てることを勧めています。あなたは国民の命を守るためタバコ税を値上げして、喫煙対策に充てることに賛成ですか →会の見解 →回答一覧表 1. タバコ税を上げ、喫煙対策に充てる考えに賛成 ●木村氏、中島氏、吉田氏、池上氏 2.タバコ税値上げに反対 3.その他( ) ●矢田氏(タバコ税の課税権は国にある。国が税政策として、総合的に判断すべきものと考えます)。 (2)莫大な費用をかけるタバコ広告は殆ど未成年者や吸っていない人が対象です。 あなたは、このことをどう思いますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.未成年者のうちに喫煙の習慣を付けて生涯の顧客になってもらわないと、早死にしたり禁煙したりする喫煙者がいるのでタバコ需要を確保できない。従って、未成年者を広告の対象とするのは当然である。 2. 未成年者をねらうのは、法的にも、健康被害の大きさを考慮に入れても、許されない。収益が下がっても国民の健康のために広告はやめるべきだ。 ●木村氏(米国での対応を参考にすべきです)、中島氏、吉田氏、池上氏 3.その他( ) ●矢田氏(広告は製品そのもののPRのために行われるものであり、法的に許される範囲内では規制はむずかしいと思います)。 (3)未成年の喫煙率を増加させている元凶の一つは町に氾濫する自動販売機です(児童(じどう)に売るから自動(じどう)販売機であるという揶揄もあります)。 あなたは国として自動販売機の撤去を勧告することに賛成しますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.国が自動販売機の撤去を勧告することに賛成する ●中島氏、吉田氏、池上氏 2.たばこ会社の自主性に任せる ●木村氏 3. 国が自動販売機の撤去を勧告することに反対である 4. その他( ) ●矢田氏(現状では法的に認められた商行為の一形態であり、国としての取り組みを尊重します) (4)人ごみでの歩きタバコをどう思いますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.喫煙者の自由だから仕方ない 2.なんとも感じない 3.マナーが悪いと思う ●木村氏、池上氏、矢田氏 4.歩きタバコを禁止する対策を進めたい ●中島氏、吉田氏 5.その他( ) 次にあなたが市長になられた際の方針をお伺いします。 (5)あなたは、市長室に灰皿を置きますか。 →会の見解 →回答一覧表 1. 置く 2. 置かない ●木村氏、中島氏、吉田氏、池上氏、矢田氏(矢田氏に関しては「応接室には置きます」というコメントつき) (6)市の管轄である施設のレストランや喫茶店を禁煙化しますか。 →会の見解 →回答一覧表 1. 速やかに禁煙化する ●吉田氏(市の関連施設のレストラン、喫茶店は、手本となるべき公共性 の高い施設ですから、当然、完璧に禁煙化します。一般の民間のレストランに関しては、世界の禁煙の流れを受けて、経営者の自主的判断に基づいて、禁煙の方向にもってゆくのが望ましい と思います) 2. 分煙を徹底する ●木村氏、中島氏、池上氏、矢田氏 3. 現状でよい (7)タクシーの禁煙化についてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.賛成 ●木村氏、中島氏、吉田氏 2.反対 3.その他( ) ●池上氏(ドライバーの判断に任せる) ●矢田氏(タクシー会社経営者の判断を尊重します) (8)医療・保健機関の全面禁煙についてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.速やかに禁煙にしたい ●木村氏、中島氏、吉田氏、池上氏 2.分煙でよい 3. その他( ) ●矢田氏(未成年や妊婦などに対する取り組み、配慮は必要と考えます) (9)禁煙希望者への禁煙指導の公費補助についてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.神戸市でも予算をとって積極的に支援したい ●木村氏、中島氏、池上氏 2.禁煙支援の公費補助は必要ない 3.その他( ) ●吉田氏(市として補助できるかどうかは難しいかもしれないが、ニコチン 依存症の治療などについては、国により公的補助が出るように、政府などに働きかけたいと思います) ●矢田氏(嗜好の問題であり、公費の補助については十分な検討が必要と考えます) 10)未成年者喫煙対策として神戸市でも屋外自販機撤去条例を作ることについてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.子供たちを守るため、自販機撤去条例を作りたい ●中島氏、吉田氏、池上氏 2.自販機撤去条例に反対 3.その他( ) ●木村氏 (実情をよく調査した上で、効果ある対応を考えたい) ●矢田氏(未成年者等に対する喫煙防止は必要と考えます) (11)WHOのタバコに関する神戸宣言(添付)についてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.賛成 ●木村氏、中島氏、吉田氏、池上氏 2.反対 3.その他( ) ●矢田氏(評価するがコメントは控えさせていただきます) (12)神戸市タバコ対策指針を策定することについてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.賛成なので是非策定したい ●木村氏、中島氏、吉田氏、池上氏 2.必要ない 3.その他( ) ●矢田氏(国の策定した「健康日本21」の“タバコ”の趣旨を尊重します) (13)神戸市でタバコ規制に関する条例を制定することについてどう考えますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.賛成なので是非制定したい ●木村氏、中島氏、池上氏 2.反対 3.その他( ) ●吉田氏(個人的には賛成なので、その方向で議会にはたらきかけ、条例制定に向けて、委員会などを設置したい) ●矢田氏(未成年者などに対する喫煙防止の徹底を図ります) 最後に、 (14)あなたは喫煙しますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.喫煙するがやめたいと思っている ●木村氏、矢田氏 2.喫煙している(やめる気はない) 3.喫煙していたがやめた ●吉田氏、池上氏 4. タバコを吸ったことがない ●中島氏 (15)あなたの選挙事務所は禁煙ですか。 →会の見解 →回答一覧表 1.完全に禁煙で、外来者も外でしか喫煙できない ●吉田氏、 2.分煙である ●木村氏、中島氏 3.自由にタバコが吸えるよう灰皿を用意している ●池上氏、矢田氏 4.その他( ) (16)あなたはタバコ会社やタバコ会社から政治献金やカンパを受けていますか。 →会の見解 →回答一覧表 1.受けている 2.過去に受けたことがある 3.受けていない ●木村氏、中島氏、吉田氏、池上氏、矢田氏 ご多忙中ご協力ありがとうございました。 ご回答はマスコミやインターネット通信を通じて広く一般に情報として流したいと思います。新聞やテレビ、ラジオ、インターネットなどにこの回答をそのまま報道することに同意して頂ける場合は、回答用紙にご署名下さいますようお願いいたします。 年 月 日 神戸市長選挙立候補者予定名 ↑TOP ↑TOP アンケート結果一覧表 (その他の内容など詳しくは詳細版を参照下さい。質問項目をクリックすれば質問/回答の詳細をご覧頂けます)
↑TOP ↑TOP 神戸市長選挙立候補表明者対象喫煙問題アンケートについて 2001年10月9日 兵庫県喫煙問題研究会 日本禁煙推進医師歯科医師連盟兵庫支部 会長 瀬尾 攝 アンケートにお答えくださった各候補者の皆さん、選挙活動お疲れ様です。6人の立候補表明者のうち、5人の立候補表明者の皆さんから回答をいただきました。回答をお寄せくださった各立候補表明者の皆さんの真摯な姿勢に敬意を表します。お忙しい選挙戦の最中、市民からの問いかけに誠実に応えてくださってどうもありがとうございました。 喫煙問題研究会会長として、医師として若干の感想を述べさせていただきます。 第1問のタバコ税の値上げに関してですが、1999年11月に神戸で開かれた喫煙問題の世界会議でも、タバコ税の値上げにより、喫煙率を下げ、その税を喫煙対策に使うことが奨励されています。たとえば、1999年の世界銀行のレポートでは、タバコ税を10%持続的に値上げすると、禁煙による喫煙者数の減少は世界全体で4000万人、それによって回避できる若年死亡者数は1000万人と計算されています。しかも日本のタバコは喫煙率の低下を実現した諸外国と比べると、2分の1〜3分の1の値段です。タバコ税の値上げによって、未成年の喫煙率の低下にも拍車がかかります。世界各国では国を上げて喫煙対策に躍起となっている時代です。WHOでは、喫煙者の2人に1人はタバコの害で早く亡くなると警告しています。また、少なく見積もっても、受動喫煙にさらされている人の20人に1人は、タバコの害で早く亡くなると言われています。他のいかなる死因より、タバコの害で亡くなる方の数は大きいのです。1999年の世界銀行の資料では、高所得国の総医療費の6〜15%は喫煙が原因で、喫煙者はタバコ関連疾患で早く亡くなることを考慮しても、生涯医療費は喫煙者の方が非喫煙者より高額であることがわかっています。世界の先進諸国ではタバコ税を上げ、その税金を情報提供、喫煙予防、禁煙支援を含めた喫煙対策に充てており、そのことで喫煙率が確実に下がっています。オーストラリアでは、この方法で1983年の喫煙率34%から1991年には26%に減少しています。 一方日本国民の意見についても、平成10年度の喫煙と健康に関する実態調査によると、「タバコの税収を喫煙対策に充てること」に対して国民の70%以上が賛成しています。 タバコ税を値上げするという一見耳障りの悪い回答でも、国民の健康を守るという視点から、国民の健康の重要性を優先させ、思い切って「賛成」にマルをつけて下さった4人の皆様に敬意を表します。「国の判断するべき問題」と自らの意見を明らかにすることを避けた方もおられますが、国の管轄する問題であっても、これは重大な問題です。喫煙は予防できる最大の疾病の原因です。日本でも、喫煙による死者は、年間約10万人と計算されておりますので、神戸市では、タバコによる死者は、年間1250名にも上る計算になります。これだけたくさんの市民を死に追いやる問題ですから、積極的に市長候補表明者としての意見を明らかにしていただきたかったと思います。 第2問のタバコ広告の規制に関しても、規制の重要性をご理解下さった方が多く、たいへんよかったです。世界でタバコ広告規制への取り組みの重要性の叫ばれる中で、日本はまだ町に派手なタバコ広告が氾濫しています。また、若者の読む雑誌、若者が見るテレビ番組の喫煙シーンにもタバコ会社のサブリミナル効果を狙った広告技術が駆使されていると指摘されています。政治家としてこれをきちんと規制する立場の人と、容認する立場の人が、このアンケートではっきりしたのは意義深いと思います。 第3問の自販機の撤去を国が勧告することに関しても、賛成の方がほとんどでした。未成年の70%から80%は自販機からタバコを買っています。日本には62万5900台のタバコ自販機があふれています。この中で、未成年者や、禁煙したい喫煙者を誘惑する広告塔としての自販機の存在は大きな問題となっております。神戸のタバコ対策会議の際に日本に訪れた外国人研究者たちからも、神戸の町に氾濫するタバコ自販機は顰蹙を買い、Tobacco Controlという雑誌にも批判記事が載ったほどです。未成年者喫煙禁止法がありながら、未成年者でも購入できる自販機の存在はたいへん問題で、実際にタバコ自販機は以下の法律に基づいて考えれば、全く不適切な場所に設置してあるものがほとんどです。これをもって、法的に許される範囲とみなすのはいかがなものでしょう。未成年の喫煙対策に対する認識不足といわざるを得ません。警察でも未成年者喫煙禁止法(現在罰金50万円)の強化をし、しっかり取締りをしていただくことが必要な状況です。ぜひ町を歩いてごらんになり、野放しのタバコ自販機を調査した上で、ご理解いただけるとありがたいです。 @@@@@@@@@@@@@@@@参考@@@@@@@@@@@@@@@@@ たばこ事業法施規則(営業所の位置が不適当な場合) 第二十条 法第二十三条[許可の基準]第三号に規定する営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合として大蔵省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。 3 自動販売機の設置場所が、店舗に併設されていない場所等製造たばこの販売について未成年者 喫煙防止の観点から十分な管理、監督が期し難いと認められる場所である場合 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 第4問の歩きタバコに関しては、マナーの問題では解決できず、やはり国として、町として、法律や条令で罰金を徴収できるような規制が必要だと思います。マナーが悪いと責任転嫁せず、喫煙という迷惑行為をきちんと規制することで、非喫煙者を受動喫煙の害から守り、市民の健康に生きる権利を守り、きれいで快適な国際都市神戸にふさわしい町つくりに貢献していただきたいと思います。 第5問の市長室の灰皿ですが、今回回答を寄せて下さった方々のうち、どなたが市長になったとしても、市長室には灰皿がなくなることが明らかになりました。すばらしいと思います。来客の喫煙で空気が汚れ、環境悪化を招きますし、部屋の壁やカーテンなどの清掃費が余分にかかり、税金の無駄使いになりますので、もちろん応接室にも灰皿は不要です。市民の血税で、喫煙という薬物依存を助長する道具を置き、市の施設の環境を汚染することをサービスと考える発想は、是非、過去のものにしていただきたいと思います。 第6問の市管轄のレストランや喫茶店の禁煙化についてですが、現在あらゆる手段を使っても、受動喫煙の害は防げないことがわかっています。 (タバコと空気清浄機の真実を暴露するホームページhttp://nosmoke.hoops.ne.jp/や、 http://tenji.med.uoeh-u.ac.jp/smoke.html参照) ですから、分煙では不十分で、やはり禁煙化をお願いしたいと思います。アメリカではカリフォルニア州が一番公共の場の禁煙が進んでおり、バーでも喫煙はご法度で逮捕されます。そのおかげでバーテンダーの呼吸器症状が軽減されたという研究も医学論文にはあります。レストランや喫茶店で食事を楽しむ市民の健康のため、そこで働く従業員のため、子供もお年寄りも安心してレストラン、喫茶店を利用できる環境つくりのために、ぜひ市管轄のレストラン喫茶店を禁煙化してくださいますようよろしくお願いします。禁煙化の環境つくりはもとより、市が率先垂範するべきであるという行政のモデル的役割にまできちんと言及してくださった方もおられ、すばらしいと思います。 第7問のタクシーの禁煙化はこれも深刻な問題です。タクシーは日本の交通機関の中でもっとも禁煙化が遅れています。世界各国ではタクシーは法律で禁煙になっており、たとえばオーストラリアでは、タクシーの中で喫煙すると約2万円(20ドル)の罰金です。タバコの煙は浮遊粉塵だけでも、環境基準を満たすように拡散するのに必要な空気はドラム缶500個分にあたります。しかもタバコの副流煙には、人間の居住環境にあってはいけないダイオキシン、ベンツピレン、ニトロソアミンなどの発がん物質や、アンモニア、アルデヒドなどの悪臭のある有害物質が多く含まれ、車の中のような狭い空間でタバコを吸われてしまったら、中にいる人は、毒ガス室の中に閉じ込められたようなものです。前述のように、空気清浄機はタバコの煙には無効です。ですから、タクシーの運転手さんはもちろんのこと、一般の客が安心して利用できるようにするためにもタクシーの中での喫煙を法的に規制することが切望されます。 第8問の医療・保健機関の全面禁煙は、ほとんどの皆さんが賛成してくださって心強いです。医療従事者や中で働く職員も例外ではなく、これらの施設の中で喫煙するべきではありません。病院は、公共施設の中でも、受動喫煙による害をもっとも受けやすい病気の患者さんが訪れる場所です。受動喫煙をどこよりも強く防がなければならず、1996年に厚生省から出された公共の場の分煙ガイドラインでも、病院、医療機関、保健機関は禁煙原則が勧告されています。病院、保健所、保健部の全面禁煙化は、市民に安全な療養環境を提供する意味でも、健康生活モデルを示すという社会的な役割の上からも全面禁煙化は速やかに実現してください。単に未成年妊婦等に限定されるべき問題ではありません。 第9問の禁煙支援の公費負担に関しても、取り組みを明記してくださる方が多く、心強いです。日本の国の中でも屋外自販機撤去条例で有名な青森県の深浦町は日本で初めて町の予算でニコチンパッチを助成し、町民の禁煙支援に力を入れています。喫煙は現在ニコチン依存症という疾患だと考えられております。その社会に対するコストや、国民の健康に及ぼす悪影響の大きさを考えると、決して個人の嗜好に留まる問題ではありません。日本のように喫煙対策の遅れた国の中でニコチン依存に陥り、ニコチン依存症から抜けようと考えている喫煙者こそ、たばこ対策の遅れによる一番の犠牲者です。したがって禁煙支援は、喫煙対策の中でも、禁煙環境の促進と合わせ、車の両輪ともいえる重要な対策です。公費による情報提供、禁煙支援スタッフの要請、禁煙指導、およびその薬物療法の保険点数化など、課題が山積しております。ぜひ禁煙支援の公費補助にも積極的にとりくんでいただきたいと思います。「市としてどんな補助が必要か」ということにつきましては、皆様が市長になられた暁には兵庫県喫煙問題研究会から有効な意見を出させていただきます。私たちの研究会には、禁煙支援の専門にするメンバーもたくさんおります。 第10問に関しては、未成年者対策として神戸市でも、国の規制を待たずして、タバコ自販機撤去条例を作ることに積極的な皆さんが多く、たいへん心強いです。ぜひ、世界でひんしゅくを買っているタバコ自販機を、この国際都市神戸から撤去してください。これはほとんどの皆さんが賛成してくださった第11問の「WHOの神戸宣言」にも合致する貴重な対策です。神戸市タバコ対策指針を策定し、具体的にどうするか、早急に方針を立て、対策を具体化してください。その際、必要な資料、対策への具体案の策定に関しては、私たちの会としても、タバコ問題に取り組む専門家集団として、全面的に協力させていただきます。「喫煙防止が大切」というお題目はタバコ会社でさえ、唱えているところです。総論に反対する人はほとんどいません。しかし、実際に有効な手段、各論になると、具体案を出さず、お茶を濁すのでは、有効な対策にはつながりません。本気で取り組むために、ぜひ、神戸市として、タバコ自販機の実態調査を、そして、タバコ自販機の撤去を切にお願いいたします。 ほとんどの皆さんの賛成してくださった第11問のWHOの神戸宣言を受け、是非グローバルスタンダードに従って神戸市が国際都市にふさわしいタバコ対策指針を作ってくださることを要望します。健康日本21において、国がタバコ会社の圧力に屈して、成人の喫煙率の半減を取り下げたことは、戦後公衆衛生上最大の汚点とも考えられています。その健康日本21のタバコ対策を尊重するというのは、たいへんタバコ産業寄りの意見とも考えられ、まことに残念です。健康日本21の失敗に学んで、是非、伊丹市や和歌山県のような毅然とした喫煙対策への宣言を、この神戸から発信していただきたいと思います。そしてそれを第13問でお尋ねしたようなタバコ規制条例につなげて下さると幸いです。もちろんそれらの対策を立てるために私たちはご協力を惜しみません。 第14問に関しては、ご自身の喫煙状況に関してお答えいただきました。禁煙された、または、タバコをお吸いにならない候補者の方にエールを送ります。ぜひ受動喫煙のない環境つくりにも寄与していただく第一歩として、第15問でお尋ねしたご自身の選挙事務所でも禁煙を徹底していただきたいと思います。 受動喫煙を受けない環境つくりに「賛成」を表明されていても、実際は、灰皿を出して、受動喫煙を容認なさっていては困ります。その点言行一致なさって事務所内禁煙にしておられる方もいて、たいへんご立派だと思います。「喫煙しているがやめたい」とお答えになった候補表明者の皆さんには、禁煙を成功させるよい方法があります。書籍もたくさん出ております。禁煙の目的と意志をはっきりさせ、タバコの奴隷から解放されるようお祈りしております。候補表明者の皆様には、兵庫県内で禁煙指導を受けられる医療機関のリストを同封いたします。タバコを吸っている限りは、各種のガンはもとより、動脈硬化、心筋梗塞、脳血管性痴呆およびアルツハイマー病等の痴呆性疾患など、生活の質を大きくおとしめる疾患にかかることは免れません。そのために任期半ばにして、倒れられるようなことがあると、市民としてはたいへん残念です。また、ご本人はマナーを守っているつもりでも、必ず、喫煙者は非喫煙者の健康を害し、社会全体に迷惑をかけ、社会的コストを負わせています。それは税金の負担以上の支出になることは前述の世界銀行のレポートからも明らかですし、日本の場合はタバコ1本あたり10円の損失を国に与えているという試算もあります。日本では政治家の喫煙が多いので、世界の報道関係者からは「日本では良識がないのに政治家になれるのか」と批判されたことがあります。やめる気持ちがないと公言する候補者の方はさすがにいらっしゃらず、安心しました。でも、やめようと思ってはいても、具体的な取り組みをしていないとすれば、そんな方を市民が支持するという甘えを持たないようにお願いします。ご自身の健康、そしてまわりの人の健康を大切にしない人に政治を任せられません。ニコチンという薬物依存に支配されている人に市民の幸せと健康を守るようなよいお仕事ができるとは思えません。市長が喫煙対策に及び腰では市民の命は守れません。元気に年を重ね、安定した精神状態で毎日を過ごすには禁煙が一番大切です。寝たきりや痴呆についても喫煙は大きな危険因子です。喫煙は喫煙者自身だけではなく、1週間に1時間以上喫煙が許されている部屋にいる受動喫煙者にも、確実に動脈硬化を起こすことが医学的に明らかになっています。非喫煙者を受動喫煙の害から守り、喫煙者を減らすことで、寝たきりは確実に減り、豊かな老後を過ごすことができるようになり、医療費も削減できます。それが真に福祉の充実につながるのではないでしょうか。介護保険の問題点を解決し、福祉の充実を促進すると同時に、介護を要する各種疾患の原因であるタバコにも真剣に取り組んでいただきたいと思います。 第16問でお尋ねした中で、タバコ会社から、献金を受けておられる方がいらっしゃらなくて、安心しました。1企業の利潤追求のために働くのではなく、市民の健康と安全を第一に考えたタバコ対策を考えて下さることを切望します。 喫煙問題は候補者の皆さんを選ぶ視点のほんの一部です。このアンケートの結果で私どもの会がどなたか特定の候補表明者の方を推薦することはありません。どの候補表明者の方が当選されたとしても、当選の暁にはぜひ、神戸市としても喫煙対策指針を策定し、神戸市管轄の諸施設の禁煙化、医療保健機関の全面禁煙化を実施し、神戸市からタバコ自販機をなくする対策に早速着手していただきたいと思います。喫煙されている方は、ご自身も自ら禁煙し、神戸市民の期待に応える政治家になってください。私たち兵庫県喫煙問題研究会も、タバコ天国とまでさげすまれている日本で、少しでも早く有効な喫煙対策が進むよう、あらゆる人々と協力しながら、医療従事者として、教育者として、子供たちの将来を守る大人として、健康を願う一市民として、さまざまな専門分野で努力してゆきたいと思います。どなたが市長になられたとしても私たちの会は喫煙対策を進め市民の健康を守る立場から、全面的に協力いたします。候補者の皆さんに喫煙問題と喫煙対策への取り組みの必要性を再認識していただく機会になったとすれば幸いです。 今回市民からの問題提起にお答えいただけなかった候補者の方はたいへん残念です。 その方にも喫煙問題へ目を開いていただくために、この報告書をお送りしますが、市民からのさまざまな問題提起に耳を傾け、真剣に共に考えていただける市長を、私たちは望んでいます。市民からのこのような問いかけに対し、候補者の方ともっともっと内容のある議論ができる時代になると日本の政治もかわるのではと期待しています。 神戸市長選挙候補表明者のみなさま、ご健康に留意され、最後までご健闘くださいますよう。アンケートにお答えくださった皆さん、このたびは本当にどうもありがとうございました。 ↑TOP |
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