阪神甲子園球場禁煙化に関する要望書 |
2002年 5月 16日 |
兵庫県喫煙問題研究会
会長 瀬尾 攝(前兵庫県医師会長) |
風薫る5月、スポーツ観戦の爽やかな季節でもあります。
私たちは、兵庫県内で喫煙対策を推進するための、医師、歯科医師、保健師などの医療関係者、教育関係者などを構成員とする市民団体、兵庫県喫煙問題研究会です。
このたび、私たちの地元の阪神甲子園球場について、全面禁煙化の要望をさせて頂きます。
受動喫煙の害が明らかになり、全国の野球場が次々に禁煙化される中で、甲子園球場は全国のプロ野球ホームグラウンドの中でも広島球場と並び、2つだけ禁煙化されていない球場となってしまいました。広島球場ではすでに禁煙化が検討されているとのことです。
今年のWHO(世界保健機関)の世界禁煙デーのスローガンは
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"Tobacco Free Sports: Play It Clean"
「タバコとスポーツは無縁(無煙) - きれいにやろう」
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です。
喫煙は心肺機能を著しく阻害し、健全にスポーツを楽しみ、スポーツ能力の向上を妨げます。スポーツを楽しむ場に煙が立ち込めているのは、ふさわしくありません。
また、甲子園球場は全国高校野球大会で未成年である高校球児の集まる球場でもあります。未成年者の喫煙を防ぐためにも、むしろ、全国に先駆けて禁煙化されてしかるべき球場だと思います。
先日も読売新聞や神戸新聞に、甲子園球場の禁煙化を要望する投書が載りました。今のように喫煙が野放しの球場では、野球を見に来る子供たちも、煙にさらされ、苦しい思いをしています。
初めて球場で大好きな野球を生で見られてうれしい1日を送るはずだったのに、他の観客のタバコの煙に暴露された息子さんが「もう野球場には行かない」と言ったというお父さんからの投書もありました。
野球を楽しみに来る子供たちが、安心して観戦できるよう、また高校球児たちに、大人が範を示すためにも、甲子園球場を禁煙化してくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
この件に関するご回答を5月31日の世界禁煙デーまでに書面で頂けますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。頂いた回答はホームページなどで公表させて頂きます。 |
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5月28日付で阪神甲子園球場から以下の通り回答がありました。 |
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平成14年5月28日 |
兵庫県喫煙問題研究会
会長 瀬尾 攝 殿
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回答書
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拝啓 新緑の候、益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素は弊球場に格別のご高配を賜り厚く御礼を申し上げます。
さて、この度、貴研究会からの「阪神甲子園球場禁煙化に関する要望書」により、会の取り組みや御要望の主旨等を拝見させて頂きました。
甲子園球場では、喫煙に対する社会環境や意識の変化を踏まえつつ、禁煙化についての検討を行ってきておりますが、今のところ実現には至っておりません。その主な理由は、十分な喫煙スペースが確保できないためです。
ご存知のように甲子園球場は竣工以来78年が経過した古い建物で、スタンド以外の建物内部に空きスペースが少なく、トイレの数でさえ十分に確保できずに、お客様にご不便をおかけしているのが現状です。消防法上、有効な避難通路を確保した上で、5万3千人のお客様が入場した場合の喫煙スペースの必要面積を考えると、十分な対応は難しい状況です。
これまでも避難に支障をきたさない範囲内において、通路に灰皿を設置し、ゲーム展開が分かるようにモニターTVを設置するなど分煙化の取り組みを行ってきております。また高校野球ではフリーボード(スコア-ボードの電光掲示板)で喫煙マナー向上の告知をしたり、場内アナウンスでの呼びかけも行ってきております。
また、本年度は、スタンド内通路での分煙にご協力いただくために、内野の座席エリアを一部変更し、座席から通路への移動がしやすいような施設改良も行いました。
更に、高校野球で行っているフリーボードでの告知や、場内アナウンスでの呼びかけをプロ野球においても行うことと致しました。
今後は、お客様の安全確保を考慮しつつ、スタンド禁煙化に向けて更に検討を進めていく所存です。何卒ご理解の程お願いいたします。 |
敬具
阪神甲子園球場
球場長 揚塩 健治 |
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