当会は、兵庫県内の医師、保健師、その他医療従事者、学校関係者、マスコミ関係者など110人からなる団体であり、喫煙問題について研究し、社会に向かって運動を行っています。
7月25日午前10時半ごろ、三田市ウッディタウンのエルムプラザにおいて、市職員およびグリーン・クリーン協議会の方たちが携帯灰皿を配布しているのを当会会員が目撃しました。また、過去にも携帯灰皿を駅の前で配布していたとの情報も得ています。
環境美化の一環として携帯灰皿を配布している、と市役所職員から説明を受けましたが、これは以下に挙げる理由で危険でありますので携帯灰皿配布をやめてくださいますように、要望いたします。
携帯灰皿はどこでも喫煙でき、それゆえ歩行喫煙を増やし、ポイ捨て以上に路上での受動喫煙を増やすことになり危険なものであるというのが喫煙対策に携わる専門家の認識です。また、煙の問題以外にも、歩行喫煙者のタバコの火が幼児の目に当たり、大きな事故になったこともあります。携帯灰皿は使わないようにして、他人に迷惑をかけるおそれのない隔離された喫煙場所、固定された灰皿がある場所のみを喫煙場所とするべきです。これによって環境美化も達成できます。
受動喫煙だけで日本で毎年1万9千人から3万2千人もの人が命を落としています。受動喫煙被害を受けている人のうち、20人に1人はそのために肺がんなどの喫煙関連疾患で死亡しています(文末参考データ参照)。逆に言うと、他人にタバコの煙を吸わせながら喫煙する人は、周りの20人に1人を殺していることになります。
また、携帯灰皿で歩きタバコを助長するような行為は、7月26日に成立した「健康増進法」の条文、
第二節 受動喫煙の防止
第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
に反する、歩きタバコを推奨することとなります。
以上のような理由で、行政当局が携帯灰皿を配布することは、極めて重大な問題を含んでいると考えます。歩行喫煙のもつ問題をご認識の上、これを助長、承認するような携帯灰皿の配布はやめていただきますように要望いたします。
なお、三田市と同様にポイ捨て防止キャンペーンで携帯灰皿を配布していた千葉市は、市民団体の指摘によって不適切であったことを認め、すでに中止されていることを申し添えます。
本要望文および頂いた回答はホームページなどで公表させて頂きますので、あらかじめ御了承下さい。
参考データ(同封文献)
日常生活で出会う危険(10万人当たりの生涯死亡リスク)
能動喫煙死 5万人(2人に1人)
受動喫煙死 5000人(20人に1人)
交通事故死 1000人
受動喫煙による肺癌死 700人
アスベスト破損住宅で肺癌死 300人
環境汚染許容基準 1人
胸部X線撮影1枚による肺癌死 0.05-0.5人
(松崎道幸:受動喫煙による健康影響.臨床科学.34(2):173-179,1998.)
松崎道幸氏が7つのコホート調査から推計されたものです。
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